「ストレスチェックって何をするの?」「産業医がいないと実施できないの?」——ストレスチェック制度は2015年に義務化されてから10年以上が経ちますが、まだ対応に迷っている企業も少なくありません。本記事では、ストレスチェックの基本から実施手順・産業医の役割まで詳しく解説します。

ストレスチェック制度とは

ストレスチェック制度とは、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐため、従業員自身がストレスの状態を把握し、必要に応じて産業医等による面接指導を受けられる仕組みです。2015年12月に労働安全衛生法に基づき義務化されました。

「会社が従業員のストレス状態を把握する」のではなく、あくまで従業員自身が自分のストレス状態を知ることが主目的です。結果は本人の同意なく会社に開示されることはありません。

実施義務は何人から?

ストレスチェックの実施義務は、常時50人以上の労働者を使用する事業所に課されています。年1回以上の実施が必要です。

事業所規模実施義務実施頻度
常時49人以下努力義務推奨(義務なし)
常時50人以上義務年1回以上
50人未満でも実施を推奨

義務がない50人未満の事業所でも、メンタルヘルス不調の早期発見・予防のためにストレスチェックの実施が推奨されています。実施コストは低く、従業員の信頼向上にもつながります。

実施の流れ

1

実施方針・体制の決定

衛生委員会でストレスチェックの実施計画を審議。実施者(産業医等)・調査票・スケジュールを決定します。

2

従業員へ調査票を配布・回収

紙またはWEB上でストレスチェックの調査票(57項目の「職業性ストレス簡易調査票」が一般的)に回答してもらいます。

3

結果の評価・通知

産業医等の実施者が結果を評価し、本人に通知。高ストレス者には面接指導の案内をします。

4

高ストレス者への面接指導

高ストレスと判定された従業員が希望した場合、産業医が面接指導を実施。就業上の配慮が必要か判断します。

5

集団分析・職場環境改善

部署単位でストレス状況を集計・分析し、職場環境の改善に活用します(10人以上のグループが対象)。

6

労働基準監督署へ報告

実施後、所轄の労働基準監督署に実施報告書を提出します(50人以上の事業所のみ)。

産業医の役割

ストレスチェックにおける産業医の主な役割は以下のとおりです。

産業医がいない場合はどうする?

ストレスチェックの実施者は産業医に限らず、保健師や一定の研修を修了した看護師・精神保健福祉士なども担うことができます。ただし、高ストレス者への面接指導は医師(産業医)が行う必要があります。面接指導が発生する事業所では、産業医との契約が実質的に必要です。

実施しなかった場合の罰則

50人以上の事業所がストレスチェックを実施しなかった場合、または実施報告書を提出しなかった場合、50万円以下の罰金が科される可能性があります(労働安全衛生法第120条)。

⚠ 未実施が発覚するケース

労働基準監督署の定期調査や、従業員からの申告により未実施が発覚するケースがあります。また、メンタルヘルス不調による労働災害が発生した場合に、ストレスチェックの未実施が企業の安全配慮義務違反として問われることもあります。

【最新】50人未満の事業所にも義務化へ|2028年施行予定

2025年5月14日、「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」が公布され、これまで努力義務だった従業員50人未満の事業所にもストレスチェックの実施が義務化されることが決まりました。

⚠ 施行時期:2028年ごろを予定

法律の附則では「小規模事業場の負担に配慮し、施行までの十分な準備期間を確保する」とされており、現時点では2028年4月ごろの施行が見込まれています。厚生労働省はすでに2026年2月に「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」を公表しており、準備が進んでいます。

義務化の背景

精神障害による労災決定件数は年々増加しており、2023年度は883件と過去最多を記録しました。50人未満の小規模事業所でも従業員のメンタルヘルス対策の強化が急務とされたことが、今回の法改正の主な背景です。

50人未満の企業が今からすべきこと

施行まで2年程度の準備期間があります。今から以下の対応を進めておくことをおすすめします。

義務化が始まってから慌てて対応するより、今から産業医と契約し体制を整えておく方がスムーズです。

まとめ

ストレスチェック制度の重要なポイントをまとめます。

「ストレスチェックをどう進めればいいかわからない」「産業医がいないので面接指導ができない」という企業様も、お気軽にご相談ください。