ストレスチェックで高ストレス判定が出た従業員への対応に困っていませんか?「面談を申し出た従業員にどう対応すればいい?」「面接指導は義務?」——本記事では、高ストレス者面談(医師による面接指導)の内容・流れ・企業の対応義務を詳しく解説します。
高ストレス者面談(面接指導)とは
高ストレス者面談とは、ストレスチェックで高ストレスと判定された従業員が希望した場合に、産業医(医師)が行う面接指導のことです。正式名称は「医師による面接指導」(労働安全衛生法第66条の10)と呼ばれます。
面接指導の目的は、従業員の心身の状態を把握し、メンタルヘルス不調の悪化を防ぐことです。産業医が面談を通じて就業上の配慮が必要かどうかを判断し、企業に意見を述べます。
「産業医面談」は長時間労働者や休職者など広くを指しますが、ここで解説する「面接指導」はストレスチェックの結果に基づく法定の手続きです。従業員からの申し出が起点となり、企業はこれを拒否することができません。
高ストレス者の判定基準
高ストレス者の判定は、ストレスチェックで使用する調査票(57項目の職業性ストレス簡易調査票が一般的)の回答結果をもとに行います。主に以下の2つの基準で判定します。
| 判定パターン | 内容 |
|---|---|
| パターンA | 「仕事のストレス要因」と「心身のストレス反応」の両方が高い |
| パターンB | 「心身のストレス反応」が特に高く、「仕事のストレス要因」または「周囲のサポート」が低い |
一般的に、全体の約10〜15%が高ストレス者と判定されます。事業所ごとに判定基準の閾値を調整することも可能ですが、厚生労働省の推奨する基準を使用するのが一般的です。
面接指導の流れ
ストレスチェック結果の通知
実施者(産業医等)から本人に結果を通知。高ストレス判定の場合、面接指導を受けられる旨も案内します。
従業員からの申し出
面接指導を希望する従業員が、自らの意思で事業者(会社)に申し出ます。本人の意思が起点となるため、会社から強制することはできません。
面接指導の実施(産業医)
申し出から概ね1ヶ月以内に産業医が面接指導を実施。勤務状況・ストレスの状況・心身の状態などを確認します。面接は30分〜1時間程度が目安です。
産業医から事業者への意見提出
産業医は面接指導の結果をもとに、就業上の配慮(業務量の調整・残業制限など)について事業者に意見書を提出します。
就業上の措置の実施
事業者は産業医の意見を参考に、業務内容の変更・時間外労働の削減・休暇取得などの就業上の配慮を講じます。
企業が行うべき対応
ストレスチェックで高ストレス者が出た場合、企業には以下の対応が求められます。
面接指導の申し出への対応(義務)
従業員から面接指導の申し出があった場合、事業者はこれを断ることができません(労働安全衛生法第66条の10第3項)。申し出を受けたら速やかに産業医と日程を調整し、おおむね1ヶ月以内に実施します。
面接指導を申し出た従業員に対し、解雇・降格・減給などの不利益な扱いをすることは法律で禁止されています(同法第66条の10第9項)。「面談を受けると評価に影響する」などの発言も問題になります。
面接指導を受けない従業員への対応
高ストレス判定が出ても、面接指導を希望しない従業員に対して強制することはできません。ただし、上司や人事担当者が本人の状態を気にかけ、負担がないか声かけをすることは大切です。著しく状態が悪化している場合は、産業医への相談を促すことが望まれます。
記録の保存
面接指導を実施した記録は5年間保存する義務があります(労働安全衛生規則第52条の18)。産業医が作成した意見書も同様に保管してください。
面談後の就業上の配慮
産業医が面接指導後に提出する意見書には、主に以下のような内容が記載されます。事業者はこの意見を踏まえ、適切な措置を講じる必要があります。
- 時間外・休日労働の制限(例:月〇時間以内)
- 深夜業や出張など特定業務の制限
- 業務量・業務内容の変更
- 就業場所の変更(テレワーク推奨など)
- 医療機関への受診勧奨
産業医の意見書はあくまで参考意見であり、最終的な就業上の措置を決定するのは事業者(会社)です。ただし、産業医の意見を合理的な理由なく無視して従業員の健康が悪化した場合、安全配慮義務違反として企業が責任を問われるリスクがあります。
よくある疑問
面接指導の費用は誰が負担する?
面接指導にかかる費用は事業者(会社)が負担します。従業員に費用を請求することはできません。産業医と顧問契約を結んでいる場合は、契約費用の中で対応するのが一般的です。
産業医がいない場合はどうする?
面接指導を行えるのは医師のみです(保健師や看護師は不可)。常時50人未満の事業所で産業医の選任義務がない場合でも、高ストレス者への面接指導が発生した際は産業医または地域の医師に依頼する必要があります。面接指導が発生しうる事業所では、あらかじめ産業医と契約しておくことをおすすめします。
高ストレス者の情報を上司に共有してもいい?
本人の同意なく、高ストレス判定の情報を上司・人事に共有することはできません。ストレスチェックの結果は個人情報として厳重に管理する必要があります。産業医が事業者に提出する意見書も、就業上の配慮に必要な内容に限定されます。
面談後も状態が改善しない場合は?
産業医による面接指導後も状態が改善しない場合、産業医が医療機関への受診を勧奨したり、休職の検討を提案したりすることがあります。継続的なフォローアップが重要です。
まとめ
高ストレス者面談(面接指導)のポイントをまとめます。
- 面接指導は従業員の申し出が起点で、会社は拒否できない
- 実施者は産業医(医師)に限られる
- 申し出から概ね1ヶ月以内に実施する
- 面接指導を申し出た従業員への不利益扱いは禁止
- 産業医の意見書をもとに就業上の配慮を実施する
- 記録は5年間保存が義務
「高ストレス者が出たがどう対応すればいいかわからない」「産業医がおらず面接指導ができない」という企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。